波の上で輝く光を追いかけて。|フォトグラファー 原直子
  • Interview : Yuriko Kobayashi
  • Photographs : Naoko Hara

2026.05.22

2024年、1本のサーフドキュメンタリームービーが世界で称賛された。いい波を求めて、極寒の北海道を旅するプロロングボーダー、田岡なつみ。過酷であると同時に、どこまでも美しい北の自然と、その懐に入り込み、全身で冬の海を楽しむ田岡の姿は、観る人の心を大きく揺さぶった。映像製作を担当したのは、世界の海を旅しながらサーフカルチャーを記録するフォトグラファーの原直子さん。これまでの旅、そしてこれから向かう先について聞いた。
フォトグラファー 原直子さん
―サーファーやサーフィンカルチャーを多く撮影する原さんですが、サーフィンとの出会いを教えてください。
原:私は静岡県の豊橋市の出身で、海がすぐそばにある環境で育ちました。高校生くらいなると、自然と地元のお兄ちゃんやお姉ちゃんたちと一緒にボディボードをやるようになりました。ここ数年はもっと色々なボードに乗りたいなと思うようになって、ボディサーフィンやミッドレングス、ロングボードと、様々に楽しんでいます。
―波乗りを楽しむだけでなく、撮影するようになったきっかけはどんなものだったんですか?
原:高校卒業後はアルバイトなどでお金を貯めては、色々な国の海に出かけるというサーフトリップを繰り返していました。あるとき、メキシコの海でサーフィンをしていたら、目の前に、ものすごく美しく波に乗る女の子がいて。気づいたら宿に向かって走っていて、カメラを取ってまたすぐ海に戻っていました。それはもう、サーフボードを投げ捨てるくらいの勢いで(笑)。
メキシコの海でのエピソード
―もともと写真を撮影するのは好きだったのですね。
原:好きは好きだったと思いますが、プロになろうなんて考えはありませんでした。専門的な知識も皆無に等しかったのですが、とにかくその女の子を撮りたいという一心で、夢中で撮影しました。その後、街を歩いていると、「海で撮影してた子だよね?」って, 色々な人から声をかけられるようになって。撮影させてもらった女の子のお母さんが家に招待してくれたり、とにかくどんどん人の縁が広がっていったんです。「カメラひとつで世界がどんどん広がっていく!」みたいな感覚があって、すごく嬉しかったし、楽しかった。以来、常にカメラを持って海に通うようになりました。
カメラを手に世界を広げる原直子さん
―原さんの写真にはナチュラルな臨場感というか、サーフィンをしている人と一緒に海を楽しんでいるようなワクワク感があります。それは意図して出せるものなのですか?
原:私は写真を専門的に学んだことがないですし、師匠について修行をした経験もありません。ただサーフィンが好きで、それを楽しんでいる人たちの姿を見るのが好き。その気持ちに素直に従って夢中で撮影していて、そうすると「これって水中から撮ったほうがいいかも?」とか、海ごしから見るビーチがすごく好きだから、「ちょっとここから撮ってみよう」とか、アイデアが浮かんでくるんです。下積み修行をしていないことをコンプレックスに感じたこともありましたが、自分のスタンスや表現を好きだと言ってくださる人に出会って、自分は自分のままでいいんだと思えるようになりました。
独自の感性で捉える波の風景
―2024年に発表したサーフドキュメンタリー『MAHOROBA』ではムービーにも挑戦しましたね。どんな経緯で製作することになったのですか?
原:この作品はプロロングボーダーで友人の田岡なつみさんと冬と春、3度にわたって北海道各地を旅しながらサーフィンをした記録です。氷点下の極寒の海でサーフィンするなんてと驚かれることも多いのですが、私はその寒さ、厳しさに惹かれて。以前、北海道に暮らす方が「北の冬は厳しくて、食料やライフラインについて常に気にかけないといけない。でも、それが楽しいんだ」と話されていたのですが、その言葉が忘れられなかった。田岡さんも私も普段は暖かい地域の海でサーフィンをしていることもあって、冬の北海道という未知の海に興味を持ったのかもしれません。
『MAHOROBA』撮影時のエピソード
―『MAHOROBA』は世界10カ国の映画祭からノミネートされました。ボードではなく、自分の作品と一緒に世界を旅することになりましたね。
原:こんな光栄な機会はそうそうないので、できる限り現地に足を運びました。ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド……。成田空港で寝泊まりして各地に飛ぶというハードスケジュールでしたが、各国でたくさんの人に出会って、そこからまた新しい仕事が生まれたり。カメラひとつで世界が広がっていくと感じたときと同じくらい、たくさんの縁をもらいました。日本ならではの自然美や、そこでのサーフィンの楽しみ方を発信できたことも嬉しくて、今後も映像作品に挑戦していきたいなと改めて感じました。
世界10カ国の映画祭を巡る旅
―今も世界中と旅している原さんですが、rounのプロダクトで旅に欠かせないアイテムはありますか?
原:CBDマッサージオイル デイリーケアはお守りのような存在です。長時間の飛行機移動が続くと足のむくみがすごいのですが、オイルでマッサージすると巡りがよくなる感覚があって、楽になりますね。日焼け後の肌に塗るとしっとり潤うのも好きなポイントです。しっとりするのにベタベタしないので、寝る前に使っても心地いいです。
―海での撮影は紫外線が強そうですものね……。
原:ただでさえ肌へのダメージが大きいのに、そこに疲労が加わると免疫が低下するせいか、肌荒れがすごいです。ひどいときには顔が腫れてガサガサになることもあるのですが、そんなときにはオイルと水分が二層式になったCBDコンディショニングローションを愛用しています。肌の炎症がひどいときでもヒリヒリせず、乾燥をやさしく保湿してくれるような使い心地で、肌も気持ちも落ち着きます。爽やかな香りも大好きです。
旅に欠かせないrounのアイテム
―今後、原さんの旅はどこへ向かっていくのですか?
原:ここ数年、海の中で撮影しているときに、「キラキラ光って、綺麗だな〜」と感じるものがあって。よく見たらそれ、海を漂うマイクロプラスチックだったんです。海の環境においてはやっかいなゴミなのですが、なんだかカラフルで綺麗なんですよね。以来、ボードケースに巾着をつけてマイクロプラスチックを集めるようになって、この夏にはそれを写真にあしらった新しい作品を発表する予定です。「あれ、なんだか綺麗だな」思ったら、実はそれが海を漂うゴミだった。そんなポジティブな気づきから海の環境について考えてもらえたら嬉しいなと思っているんです。
マイクロプラスチックを作品に昇華させる
  • Profile

    原 直子/ Naoko Hara

    フォトグラファー、映像作家。サーフボードとカメラを持って世界を旅する。波の上で輝く人々の姿だけでなく、その背後のあるストーリーやカルチャー、ライフスタイルをも表現するスタイルで、アパレルブランドのルック撮影や雑誌への寄稿など、多方面で活躍。2024年には初の映像作品となるサーフドキュメンタリー『MAHOROBA』を発表。世界各国の映画祭で高い評価を得た。6月3日から7月14日まで、名古屋大丸松坂屋〈WALL MUSEUM〉にて、海で収集したマイクロプラスチックを使った写真作品の展示を行う予定。
    Instagram:nashos.san

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