ウルトラライトな装備で、いろいろな遊びを。|Moonlightgear 代表 千代田高史
  • Interview : Toshiya Muraoka
  • Photographs : Satoko Imazu

2024.3.7

堅牢な重装備が必須と考えられていたアウトドアにおいて、できるだけ装備を軽くし、その分だけ遠くへ、あるいは軽やかに移動するという概念が生まれた2000年代初頭。カウンターカルチャーとして始まったウルトラライトのムーブメントは、日本でも受け入れられ、定着していった。牽引役を担い続けるショップ〈Moonlightgear〉の千代田高史さんは、今もその遊びの渦中にいる。自分で使って、伝える人。千代田さんにとって、CBDはもはや「生活の一部」になっているという。
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自分たちが本当に好きなもの。
そのリアリティを伝えたい。
―最初に、ウルトラライトがどのようにして広まっていったのか、教えてください。
千代田:ウルトラライトは、アメリカの伝説的なクライマーであるRay Jardineが、身軽にロングトレイルを歩くための道具を開発したのが始まりです。彼が自作の軽量ギアについてのアイディアを記した『PCT Hikers Handbook』を出版したのが1991年のこと。その考えを元にして、〈GOLITE〉というブランドがバックパックや寝具などを作り始め、2000年頃からいろんなガレージ・メーカーが生まれたんですね。
日本では2005年頃からウルトラライトの実験的なスタイルで山に行く人たちが現れて、2010年以降にはガレージメーカーも誕生し始めた。新しいハイキングという形で認知されて、トレイルランナーや山岳アクティビティの人たちにも受け入れられていったのだと思います。
僕らは“軽さ”を使って、素早く動くスピードハイキングやマウンテンバイク、雪のバックカントリーに入ったりしています。もしかしたら、ウルトラライトの本流から外れているものを提案しているのかもしれないけれど。
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―本流とは、とにかくグラム単位で軽さを求めて、みたいな考え方ですか?
千代田:そう、最初のガレージメーカーの人たちは本当にマニアックにその部分を追求していたから。定着している日本のブランドの中には、「素晴らしいウルトラライトを広めていくんだ」という使命感を持って活動している方もいると思います。でも、僕らは誰かのためではなくて、自分たちが楽しんで、それが結果的に面白いと思ってもらえたら良い。実はそれが一番、波及力があるとも思っていますし、そういうスタイルでしか提案できないんです。だから、店にも僕らが本当に好きで使っているものしか置いていません。そこで嘘をついてしまうと、つまらなくなってしまうから。
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―ウルトラライトのカルチャーは、定着し、現在は日本でも細分化、多様化している、と。
千代田:ウルトラライトって、実は間口が広いんだと思うんです。「100マイルを走って、自分の限界が知りたい」みたいな、ある意味ではマッチョな人から、「とにかくギアが好き」とか、「人と違うスタイリングがしたい」というところから入る人もいる。僕らに関して言えば、やっぱりタープとかで、「軽く寝る」っていうことが好きで、そこにヴィンテージのマウンテンバイクやバックカントリーのような、いろんなアクティビティを組み合わせて遊んでいる感じですかね。
YouTubeで発信もしているんですが、今年は「有給を使ってギリギリ10日間で行ける海外トレイル」っていうイシューをやりたいんですね。それは、もっと映画を観に行くような軽い感覚で、あなたたちと変わらない私が歩いてきましたっていう提案をしたいから。仕事を辞めて半年で何千キロも歩くような人生を賭けた挑戦は、なかなかできないですからね。年齢に合わせて、遊び方も変わっていきますしね。例えば子どもが産まれて、あまり山に行けていない人もいるはずで、休みが一日でも車中泊して、子どもを連れて行ける遊びもありますよ、とか提案をしたいです。すごく刺さるはず。自分の人生においてもそうでしたから。
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―千代田さんが大切にしているのは、常にリアリティなんですね。
千代田:今年は〈Moonlightgear〉で移動店舗みたいに、バンで泊まりながらあちこち回ろうと思っているんです。そこに来てくれた人がコアなファンになってくれたら嬉しいし、そのコアな人たちのコミュニティと少しずつ仲良くなって、じゃあ、次に店を出すなら、彼らのいるところにしようってマッピングできたら面白いなと。ゆるく遊びながら、繋がっていく感じ。
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―年齢を重ねた結果として、店に並ぶラインナップが変わったりもしていますか?
千代田:うちは個人商店ではないので、むしろおじさんがセンスのラインのようなものを越えてしまったら、表に出ない方がいい(笑)。若いスタッフたちの意見に、影響を受けたいという気持ちもありますし。一方で、自分がプレイヤーであるうちは大丈夫という感覚もあるんですね。経験から体に対する気づきの蓄積はあるから、年齢に合わせた提案もできるはず。去年、雪山合宿のためにニセコで一ヶ月くらい生活してたんですけど、疲労が溜まった時にCBDスポーツバームを塗り込みまくってましたね。みんなで使っていたらすぐになくなっちゃいましたけど、やっぱりリカバリーは大事だなって実感しました。出張も多いから、よく眠る重要性も知ってますし。
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―自分の体と相談しながら遊ぶ感覚ですね。
千代田:そういう意味では、rounのアイテムは、生活の一部になってますね。日々、風呂上がりにはオイルを塗ってストレッチして、激しい登山の後にはバームでぐりぐり塗って。よく眠りたい時にはグミを食べる。最近は、ロールをコロコロしてオイルを塗り込むスティックがあるじゃないですか。
―CBDロールオンですね。先端に着いたロールを肌に付けて回して、マッサージしながらオイルを塗り込むアイテム。
千代田:長距離運転しているときに使ったりしてますね。あれは持ち運びやすいし、めちゃくちゃウルトラライトですよ。コロコロ、最高。スポーツタイプをコラボして作りたいくらい(笑)。rounのアイテムは、一度使い始めたら手放せなくなる。最初のきっかけは、リフレッシュ感だったかもしれないけれど、毎日使い続けているものは、もっと感覚的に気に入っているものになっていきますよね。
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  • Profile

    千代田 高史/ Takashi Chiyoda

    Moonlightgear / nomadics.inc 代表
    2010年にウルトラライトなアウトドア用品のオンラインショップ『Moonlightgear』を立ち上げる。
    2012年より、海外のアウトドアやスポーツブランドの
    ディストリビューションも手がけ、イギリスの「OMM」や「VIVOBAREFOOT」などを取り扱う。

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